OPEN

CLOSE

診療センター / 消化器内視鏡センター

内視鏡検査について

上部消化管内視鏡検査

上部消化管内視鏡検査(通称:胃カメラ)は、食道・胃・十二指腸を観察し、病気の診断を行うための検査法です。バリウムを用いた胃透視検査に比べて、粘膜の色調も含めて詳細な観察が可能であり、また病変の一部を採取し(生検)、ピロリ菌などの培養検査や病理検査に提出できることや、止血処置や異物除去などの内視鏡処置ができる点が利点です。

経鼻内視鏡検査

経鼻カメラは反射の原因となる舌の上を通らないため、咽頭反射であるえづきが少なく、経口カメラに比べて楽だと感じる方が多いです。

経鼻内視鏡は、通常の経口内視鏡に比べて嘔吐反射が出にくいとされています。そのため胃カメラ検査時のえづきが強い方や、食道裂孔ヘルニア・逆流性食道炎などで胃から食道に空気が抜けやすいゲップが多い方では、検査時の苦痛が軽減されます。

しかし、スコープ径が細いため、通常経口内視鏡に比べて画質が劣ること、送気・吸引能力が弱いため検査時間がかかることなどがデメリットです。

■検査の流れについて

下部消化管内視鏡検査

下部消化管内視鏡検査(通称:大腸カメラ)は大腸(上行結腸・横行結腸・下行結腸・S状結腸)および直腸を観察し、ポリープやがん、あるいは炎症などの病気の診断を行うための検査法です。バリウムを用いた注腸検査や大腸CT検査と比べて、腸管内を直接観察するために微小な病変や色調の変化を捉えることができます。また粘膜や糞便の一部を採取し病理検査や細菌培養検査に提出したり、ポリープが見つかった場合には切除したりすることが可能です。

■検査の流れについて

下部消化管内視鏡検査
(大腸カメラ)

拡大観察・特殊光観察(NBI・BLI・LCI)

  • 胃の早期胃がんの通常観察です。
  • 胃の早期胃がんの拡大NBI観察です。通常観察に比べて表面構造や血管構造の詳しい観察が可能です。

拡大観察は、内視鏡画像のデジタルズームする方法と内視鏡のレンズ自体で光学式にズームする方法があります。NBI(Narrow Band Imaging)・BLI(Blue LASER Imaging)・LCI(Linked Color Imaging)はいずれも狭域帯光観察といわれ、粘膜表面の構造と血管像を強調して描出する方法です。初期の腫瘍は通常観察では形態や色調変化を捉えにくいため、拡大観察と特殊光観察を組み合わせて早期がんの発見や範囲診断を行います。当院ではオリンパス社製および富士フィルムメディカル社製の内視鏡システムを使用しており、それぞれの特性を生かして精密検査を行っています。

小腸内視鏡検査

小腸内視鏡は、内視鏡とオーバーチューブにバルーンを装着したダブルバルーン内視鏡を採用しています。小腸は長いため、前半部分と後半部分に分けて観察していきます。当院では通常観察用の長い小腸内視鏡に加えて、胃などの術後再建後の胆膵内視鏡処置を行うための処置用小腸内視鏡を備え、術後症例の胆膵治療を行っています。

カプセル内視鏡検査

  • カプセル内視鏡
  • 小腸の粘膜びらん(赤丸)

カプセル内視鏡は、約25mm大の内視鏡カプセルを服用し、消化管内の静止画を撮影していく検査です。カプセルで撮影された画像は体外の記録装置に送られ体内の位置情報とともに記録されていきます。検査は予約検査になりますので、初回受診時に医師と相談のうえ検査予約を行います。検査当日は絶食で来院いただき、体外記録装置の装着後、カプセルの服用をしていただきます。カプセル服用後は一旦ご帰宅いただきます。指定の時間が経過すれば帰院していただき、体外記録装置を外します。カプセル内視鏡については、回収キットをお渡しいたしますので、排便時に回収していただきます。

超音波内視鏡検査

  • ラディアル型超音波内視鏡:超音波診断に使用します
  • コンベックス型超音波内視鏡:超音波診断および処置に使用します(穿刺針を出しています)

超音波内視鏡検査では、消化管の腫瘍や粘膜下腫瘍、消化管壁の外にある臓器(胆道・膵臓・リンパ節など)の観察を行います。通常内視鏡と違って断面の観察になるため、消化管腫瘍の深さや粘膜下腫瘍の内部構造、胆膵腫瘍の質的診断・進展度診断に有用です。
最近では膵疾患のスクリーニング検査として活用されており、当院でも体外エコーやCT・MRI検査で膵がんを疑う所見を有する方に積極的に超音波内視鏡検査を施行しています。
また観察だけでなく、消化管壁を貫いて腫瘍に針を刺して細胞採取を行う超音波内視鏡下穿刺吸引細胞診(EUS-FNA)も行っています。腫瘍診断以外にも、胆道ドレナージ(EUS-BD:EUS-HGS、EUSーCDS)や膵嚢胞ドレナージ(EUS-CD)といった胆膵系超音波内視鏡処置も行っています。超音波内視鏡検査はいずれも通常内視鏡検査より検査時間が長く、超音波内視鏡専用機の口径も太いので、苦痛の軽減のため必ずセデーション(鎮静剤)を使用して行います。

  • 十二指腸の粘膜下腫瘍です。表面は正常粘膜に覆われており、内部の構造は不明です
  • 超音波内視鏡では腫瘍の内部構造だけでなく、壁外に突出した形状がわかります
  • 胃から膵臓の腫瘍(赤矢頭)を観察しています
  • 胃壁を貫く経路で膵腫瘍を穿刺し(黄矢頭)細胞を採取します

胆膵内視鏡検査

  • 十二指腸・胆道・膵臓の図 / 胆管および胆嚢
  • 膵管

胆膵内視鏡検査は、胆管および膵管の開口部である十二指腸乳頭部からカテーテルをそれぞれの管に挿入し造影剤を流して撮影する内視鏡的胆管膵管造影術(ERCP)が基本となります。事前に施行されたCT検査やMRCP検査などの画像情報を元に、造影検査にて病態を確認したうえで必要な処置を行っていきます。胆膵内視鏡処置には十二指腸乳頭括約筋切開術(EST)や十二指腸乳頭括約筋バルーン拡張術(EPBD)を用いた胆管結石の除去、胆膵悪性疾患に対する各種細胞診、胆道悪性腫瘍に対する内視鏡的胆管ドレナージ(EBD)や金属ステント留置術(EMS)、胆石および膵石に対する体外衝撃波結石破砕術(ESWL)、消化管術後の患者さんの胆膵処置(ダブルバルーン内視鏡を用いた胆道処置、経皮経肝的胆道ドレナージ:PTCD、PTGBD)など、さまざまな胆膵疾患に対する診断・治療を行っています。

※本ページ内の画像はアステラス製薬「内視鏡テクニカルガイド」より許可を得て参照しています