2022.12.15
腹壁瘢痕ヘルニアってなに?どうやって治療する?
腹壁瘢痕ヘルニアってなに?どうやって治療する?
ここがポイント
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腹壁瘢痕ヘルニアってなに?
いままであまり治療されてこなかった疾患です。
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腹壁瘢痕ヘルニアの原因は?
原因があることも見つからないこともありますが、手術を受けた後に起きることがある疾患です。
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腹壁瘢痕ヘルニアって治療が必要?
個人差はありますが放置すると血流障害や排尿障害、腰痛などを引き起こすことがあります。
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腹壁ヘルニアの治療法は?新しい手術法 eTEPについて
新しい治療法を取り入れています!
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出月賞とは
日本における内視鏡下手術の発展に貢献した医療人に授与されるもので、『日本内視鏡外科学会雑誌』に掲載された投稿論文のなかから最優秀論文が選考され、授与される賞です。
目次
1腹壁瘢痕ヘルニアってなに?
腹壁瘢痕は「ふくへきはんこん」と読みます。
・腹部手術後のおよそ10%に出現します。 ・立ったり、腹圧をかけたりすると手術の傷があったところが膨らんで、違和感や痛みを伴います。 ・発生する時期は様々で、手術を受けて術後数ヶ月から数年後に出てくることもあります。 |
2瘢痕ヘルニアの原因は?
・手術で切った皮膚は治っても、皮下脂肪の下にある筋膜という固い膜がくっつかないため、腹圧をかけると腸などの臓器が皮膚の下に出てきます。
・術後の傷の感染や肥満、喫煙、糖尿病、高血圧、肺気腫、冠動脈疾患、腎不全、免疫抑制剤の使用など様々な発症リスクがあります。
3腹壁瘢痕ヘルニアって治療が必要?
症状の出かたには個人差があります。
・小さいヘルニアは、嵌頓(かんとん)といって、突然、腸が詰まって血流障害を起こし、緊急手術が必要になることがあります。 ・大きいヘルニアは、腹圧をかけにくいため便秘や排尿障害、ヘルニアのために重心が前のめりになるため腰痛があることがあります。
症状が少なくて手術リスクが高い方には経過観察をお勧めすることもあります。 腹圧が常にかかるので、ヘルニアは通常は時間と共に大きくなっていくことが多いです。
症状の強さやヘルニアの大きさと位置だけでなく、心肺機能などの全身状態を考慮しながら手術を受けるかよく話し合って決めます。 |
4腹壁瘢痕ヘルニアには、どんな治療があるの?
大きさ1cm以上の瘢痕ヘルニアの修復にはヘルニア再発予防のために人工物であるメッシュを留置することが望ましいです。
治療法には大きく分けて2つあります。
・腹壁切開法: 皮膚を切ってメッシュを入れてヘルニアを閉じる方法
・内視鏡下修復術: カメラを使って剥離し、メッシュを入れてヘルニア門を閉じる方法
内視鏡下修復術は、メッシュの留置位置によって大きく2つに分けられます。
・IPOM法: アイポムと呼んでいます。腹腔(ふくくう)内にメッシュを入れる方法です。
・eTEP法: イーテップと呼んでいます。腹腔(ふくくう)外にメッシュを入れる方法です。
我々は、カメラを使った腹腔外にメッシュを入れる方法eTEPが最も安全で痛みが少ないと考えています。
また、手術前の全身状態の最適化(運動、禁煙、糖尿病の是正、減量など)が手術を安全に行うためには重要です。
5日本内視鏡外科学会 『出月賞』を受賞しました。
当院外科でヘルニア専門外来を行っている今村清隆は、2022年(第25回)『出月賞』を受賞しました。これは、『日本内視鏡外科学会雑誌』に掲載された論文の中から、最優秀論文が選考され受賞されるものです。毎年1名しか選ばれないものです。腹壁瘢痕ヘルニアに特別な関心をもって取り組んだ結果であり、今後も困っている方のために頑張りたいと思っています。どうぞ宜しくお願いいたします。
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