2021.03.01
質の良い睡眠とは?|睡眠不足と生活習慣病|脳神経内科(千船病院)
質の良い睡眠とは? ~快眠のススメ~
ここがポイント
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良質な睡眠、とれていますか?
日中の眠気の原因とは…
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そもそも何のために眠るの?
睡眠は「脳」の休息
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ぐっすり眠ろう!!
快眠のための5つのポイント
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最後に
快眠のススメ
1良質な睡眠、とれていますか?
ちゃんと寝たはずなのに、日中眠気に襲われた経験はありませんか?
もしかしたら、それは正しい睡眠をとれていないからかもしれません。
「睡眠が大切なのはわかっているけど、具体的にどうしたらいいの?」という方に、集中力、記憶力や生活習慣病にも影響を与えると言われている「睡眠」について正しく知り、「快眠」するためのポイントをご紹介します。
2そもそも何のために眠るの?
図1:睡眠と生活習慣病(出典:厚労省ホームページ)
睡眠には身体を休ませるのはもちろんのこと、「脳」を休ませるという大切な役割があります。
脳は非常に燃費が悪い器官で、重さは体重の2~5%に過ぎないのですが、消費エネルギーは全体の20%以上になると言われています。そんな脳を休ませるのに必要不可欠なのが ” 睡眠 ” という行為なのです。
また、睡眠不足は生活習慣病や生命予後とも密接な関連があるとされています。
図2:睡眠時間と死亡リスクの関係(出典:Arch Gen Psychiatry. 2002;59(2):131-136.)
最近発表された、カリフォルニア大学(アメリカ)での大規模研究(30歳~102歳の110万人を対象)では、①6.5~7.5時間睡眠が最も死亡リスクを下げる、②6.5~7.5時間睡眠より、長すぎても短すぎても死亡リスクは高まる、という結果が出ています。
3ぐっすり眠ろう!!
私たちが本来的に持っている5つの感覚に分けて、快眠するためのポイントをご紹介します。
- 朝は日光を浴び、夜は照明を暗くしよう(視覚)
睡眠ホルモンのメラトニンは、朝に光を浴びてから14~16時間後に分泌が始まり、午前2時頃に最も増えると言われています。メラトニンは目からの刺激に左右されるので、夜は明るすぎない照明を心がけて下さい。また、パソコンやテレビ、スマートフォンなどブルーライトを発する電子機器の使用はなるべく避けた方が良いでしょう。
- 穏やかな音を聴いてみよう(聴覚)
完全な無音状態よりも、自然に近い音が流れていた方が入眠しやすいことが分かっています。ヒーリングサウンドやクラシック音楽などがおすすめです。イヤホンではなくスピーカーを使い、少しずつボリュームダウンしていきましょう。ただ、自分の好きな音楽を聞くとテンションが上がってしまい、逆効果になりがちなので注意が必要です。
- 鎮静作用のある香りを試してみよう(嗅覚)
五感の中で最も快眠効果が出やすいのが嗅覚だと言われています。嗅覚は他の4 つとは異なる伝達路を持っていて、脳内にある視床下部という場所に直接刺激を与えることができます。視床下部は睡眠に深く関係する自律神経やホルモンをコントロールしているので、ラベンダーやカモミールなどの香りを試してみることをおすすめしています。
- 食事にも気をつけよう(味覚)
夕食は寝る3時間前までに摂るのが理想的です。肉類・魚類・豆類・乳製品に含まれる必須アミノ酸の「トリプトファン」と魚介類に多く含まれる非必須アミノ酸の「グリシン」は快眠に欠かせない栄養素です。また、コーヒーやお茶にはリラックス効果もありますが、寝る4時間前からは控えるようにしましょう。
- ゆったりとした入浴を心掛けよう(触覚)
寝る1~2時間前までに、40℃前後のぬるめのお湯に10~30分浸かるのがベストな入浴です。眠れない時は軽いストレッチも試してみて下さい。
4最後に
ほんの少しの工夫と心がけで「快眠」できることがお分かりいただけたでしょうか。
良い睡眠をとることで、生活リズムも整い、生活習慣病を低減させることも証明されています。まさに良いこと尽くめですね。今日から始められる「快眠のススメ」、皆さんもぜひ試してみて下さい!