2025.04.01
24時間365日受けられる無痛分娩 (オンデマンド無痛分娩)
24時間365日受けられる無痛分娩 (オンデマンド無痛分娩)
ここがポイント
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無痛分娩とは?
背骨の奥に留置した細い管(カテーテル)から薬液を投与することで、おヘソから下の感覚を鈍らせて陣痛の痛みを和らげる分娩方法です。
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当院の無痛分娩の特徴は?
自然陣痛が来てから無痛分娩を行うオンデマンド無痛分娩を採用し、無痛分娩管理全般を麻酔科医が行っています。
目次
1無痛分娩ってどんなもの?
無痛分娩は、背骨の奥に留置した細い管(カテーテル)から薬液を投与することで、おヘソから下の感覚を鈍らせて陣痛の痛みを和らげる方法です。静脈注射や筋肉注射で全身に薬剤を投与する方法とは異なり、お母さんの意識ははっきりしていますし、投与した薬の影響で赤ちゃんが眠ってしまうようなことはありません。
具体的な方法としては、背中の皮膚に局所麻酔をしたのち背骨の隙間に約5cmほど針を進め、硬膜外腔というスペースにカテーテルを留置します。さらにその約5mm奥には、糸のように細い神経が入った袋(脊髄くも膜下腔)があるので、そこにも極細の針で少量の薬剤を注入します。
この極細の針の注射は、5〜10分ですばやく鎮痛効果が出現して、1〜2時間ほど効果が続きます。そしてその後に使用するカテーテルからの薬剤の効き目がより良くなるという利点があるため、この2種類の方法を組み合わせています。
麻酔は赤ちゃんが産まれた後、お産後の止血・縫合処置が終わるまで継続して使用します。千船病院の無痛分娩料金は、麻酔時間の長短や時間帯に関わらず一定額ですのでご安心ください。
2麻酔科医がいる方がいいの?
小規模な分娩施設が多い日本では、❶ 分娩を担当する産科医が無痛分娩も行う施設 ❷ 最初のカテーテル挿入だけ麻酔科医が行なってその後の管理は産科医が行う施設 ❸ 無痛分娩管理全般を麻酔科医が行う施設 があり、3番目の方法はごく限られた施設のみで行われています。
しかし、無痛分娩は、一度カテーテルを入れたらずっと同じように麻酔が効いているものではありません。麻酔の効果が十分か・逆に効き過ぎてはいないか、定期的に保冷剤を体に当てて、その冷たさ具合でチェックをし、薬剤を調節する必要があります。また、カテーテルが硬膜外腔以外の危険な場所(血管内や脊髄くも膜下腔)に入っていないか、繰り返し確認する必要があります。足を動かせるか・耳鳴りや唇の痺れなどの症状がないか、血圧低下・不整脈がないかなどを診ています。
これはとても重要なことで、どれほど上手な麻酔科医が注射を行っても、カテーテルの迷入の確率は0%にはならないし、最初は良い位置にあったカテーテルが、途中でずれてしまうこともあるからです。この発見・対応が遅れると呼吸停止・致死的不整脈など命に関わる事態になりかねませんので、お産を担当する医師とは別に、無痛分娩担当の麻酔科医が目を光らせていることが安全にはとても重要です。
千船病院では、無痛分娩管理全般を麻酔科医が行っています。
3計画無痛分娩とは何が違う? オンデマンド無痛分娩のいいところ
海外では自然陣痛が来てから無痛分娩を行う、オンデマンド無痛分娩が主流です。これは分娩が大病院に集約化されており、病院に24時間麻酔科医が常駐しているから可能なことですが、日本は前述の通り小さな分娩施設が多く、日中しか麻酔科医が関与しない、夜間帯に人手がないから日中にお産をさせたい、などの理由で計画無痛分娩を行う施設が多いです。しかし千船病院ではオンデマンド無痛分娩を行なっています。
計画無痛分娩の場合、全然陣痛が来ていない状態から、陣痛促進剤でお産に至るような強い陣痛を起こさせる必要があります。これは停車している車がいきなり高速道路に合流しようとするようなもので、様々な医療介入を必要とします。それでもなかなか陣痛が思うように強くなってくれずに、2日目、3日目・・とお産までの期間が長引いてしまうことがしばしばあります。
それに対して自然陣痛が来てから無痛分娩を行うと、もう車は高速道路を走っている状態ですから、陣痛間隔が途中で間延びしてきた、いわゆる“続発性微弱陣痛”の場合も、車の速度を時速60kmから80kmにひき上げるようなもので、陣痛促進剤の効果が得られやすいと言えます。
オンデマンド無痛分娩は、お産がゆっくりと進むことが多い初産婦さんや、可能なら自然分娩をしたいと思っているけれども陣痛が痛すぎたら途中で切り替えたいという妊婦さんに特におすすめな方法です。
4無痛分娩を希望したからもう安心?? “安産”になるために〜無痛分娩までの準備が大切〜
無痛分娩は陣痛の痛みを和らげ、全身の筋肉の過度の強張りを解いて、落ち着いてお産ができるお手伝いをしてくれます。しかしながら、安産を保証してくれるツールではないのです。
「無痛分娩を希望したからもうお産の準備はバッチリです」
その通り、と言えたらどんなにいいでしょう。しかし実際に陣痛が来たとき、低確率ですが、お母さんの血液・背部の皮膚、赤ちゃんの元気さなどの状態次第では無痛分娩ができない可能性があります。また、オンデマンド無痛ではしっかりとした本陣痛になるのを待って麻酔をしますので、それまでの陣痛は普通分娩の場合と同じです。ですから、お産の進み方を勉強しておくことや、陣痛が始まってからの呼吸法・リラックス法をあらかじめ練習しておくことは、無痛分娩を考えられている方にこそとても重要です。
また、いよいよいきんで赤ちゃんを産むぞ!というときには、痛みが和らいでいるぶん、普通分娩の場合よりもより意識的に力強くいきむ必要があります。このときにしっかりと腹筋に力を入れて効果的にいきめるように、妊娠中から妊婦体操などを取り入れてしなやかな体づくりをしておきましょう。