2020.12.21
食物アレルギーの治療法|小児科
食物アレルギーの診断と治療法 その2
ここがポイント
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食物アレルギーがあっても、反応しない量(負荷試験陽性閾値未満)
過剰な食物除去は反って治るのを遅らせるため、今まで平気で食べていた量や、食物負荷試験閾値以下の量は食べ続ける
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経皮感作と経口免疫寛容
湿疹で荒れてバリア機能が低下した皮膚から吸収されるとアレルギー反応を起こし易くなる
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食べないと治りにくい かと言って、闇雲に食べるのは大変危険
身体に合った治療はお子さんによりそれぞれのため、専門の医師の指導の下に個別の対応が必要
目次
1食物アレルギーがあっても、反応しない量(負荷試験陽性閾値未満)は食べ続けましょう
時々、湿疹をきっかけに血液検査を勧められ、アレルギー陽性食物があれば、除去しているお子さんを見かけます。食物負荷試験をせずに、血液検査のみを根拠とした食物除去は、反って治るのを遅らせることもあります。何か食べて症状があっても、今まで平気で食べていた量や、食物負荷試験 閾値(しきいち)以下の量は食べ続けるようにしましょう。
卵は十分に加熱すればアレルゲン性が低下しますし、加熱卵黄は卵白より反応性が低いです。小麦粉などと練って焼き込むとさらにアレルゲン性が低減されます。牛乳は加熱しても卵ほどにはアレルゲン性は低下しませんが、パンケーキのように焼き込んだ加工品は少量なら食べられることがあります。小麦アレルギーでは、小麦粉の種類によってアレルギー性が異なります。薄力~強力は小麦粉の粘りの強さを示し、この粘りはグルテンというタンパク質由来で、これがアレルゲンの主体であるため同じ乾燥重量でもビスケットなどの原料である薄力粉、うどんなどの中力粉、パンなどの強力粉では、ビスケット<うどん<パンの順にアレルギー性が強くなります。これに加えて、茹であがったうどんは同じ重さでも水分を多く含むため、パンは食べられなくてもうどんであれば少しなら食べられるという人もいます。
2食事療法を始める前に、湿疹を治しておく(経皮感作と経口免疫寛容について)
食物アレルゲンは、湿疹で荒れてバリア機能が低下した皮膚から吸収されるとアレルギー反応を起こし易くなり、口から食べて胃や腸から体内に取り込まれるとアレルギー反応が起こりにくくなることが、免疫寛容現象として知られています。
湿疹は、食物アレルギーの治療に取りかかる前に、ステロイド軟膏や保湿剤で積極的に治療し、落ち着かせることが基本になります。
3食べないと治りにくい かと言って、闇雲に食べるのは大変危険です
食物負荷試験陰性の食物や、閾値以下の食物は積極的に食べましょう。
菓子やパン、レトルト食品などの一部には、アレルゲン含有量早見表や、食品メーカーのホームページなどから、卵、牛乳、小麦に関しては、成分量がわかっている物もあります。
閾値以下の食物を、毎日~週3回程度続けて摂取していると、徐々に閾値が上昇し、食べられる量が増えてきます。
私の経験では、食物アレルギーがあっても1~2歳までに食べ始めれば、3~4歳までに食べられるようになることが多く、開始が5歳を過ぎると諸種の要素で難しくなります。しかも、十分に注意せずに摂取すると、アナフィラキシーと言って、全身症状を伴うような危険な反応を起こすことがあります。また、同じ量を食べていても、発熱、下痢、疲れなど体調不良や、激しい運動をきっかけに症状が出ることもあります。実際には、お子さんの年齢、合併症、アレルゲンの種類・量などによって進め方は異なりますので、専門の医師の指導の下に個別の対応が必要になります。
4クイズの答え
Q.食物アレルギーがある場合の望ましい対応は次のうちどれでしょうか?
1)危険なので一切食べない
2)反応しない量を食べる
3)今まで以上にたくさん食べて慣らす
A. 2)反応しない量を食べる
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