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診療部 ー 病理診断科

治療について

組織診について

組織診とは患者さまの体から採取させて頂いた検体を、これから挙げる工程を経てプレパラートを作製し、病理医による顕微鏡観察で診断される医行為の一つです。検体の種類は胃カメラなどで病変の一部を採取する生検材料、胃全摘術などで病変の全体を採取する手術検体に大別されます。

標本の作り方

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手術で採取された検体(子宮筋腫)をホルマリンで固定した後、肉眼的に観察します。

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病変をおよそ5mmの厚みに切り出し、カセットの中に入れます。

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写真の包埋機を使用して、検体を入れたカセットをアルコール⇒キシレン⇒パラフィンの順に薬剤を浸透させます。この過程で検体の水分はパラフィンへと置換されます。こうすることで検体は標本作成のための適度な硬さになり、かつ長期保存が可能となります。

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切り出した検体がカセット内でパラフィンに包埋された状態になります。

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こうして作成されたブロックはFFPE (Formalin fixed paraffin embedded) と呼ばれます。臨床検査技師がFFPEを3ミクロンの厚みで薄く切っているところです。これを薄切作業といいます。

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薄切されたFFPE (パラフィン切片)を水に浮かべて、しわをのばします。

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スライドガラスにパラフィン切片を貼りつけたものです。このままでは透明なので顕微鏡でみても何もわかりません。

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HE (ヘマトキシリン・エオジン) 染色を行うことで細胞や核の観察が可能になります。写真は自動でHEを染色する機械です。

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最後にカバーグラスを被せて封入されたプレパラートを、実際に顕微鏡で見た時の写真です。これは良性病変です。

細胞診について

細胞診とは病変部を綿棒で擦過したり、注射器で穿刺吸引したり、喀痰や尿、体腔液 (胸水、腹水など) から採取した細胞をスライドガラス上に塗抹し染色した細胞標本を作製し診断することをいいます。組織診に比べて得られる情報は少ないですが、比較的患者さまの負担が軽い検体の採取が可能で、組織診の前段階として行われる事が多いです。細胞検査士の資格を持った検査技師がスクリーニングを行い、病理医が診断します。

迅速病理診断について

迅速病理診断とは、手術中に臓器の一部を病理診断することをいいます。この場合、通常の組織診の様に検体をパラフィンに包埋している時間的余裕はありませんので、液体窒素を使って検体を瞬時に凍らせてしまいます。凍らせた検体を、写真のクリオスタットと呼ばれる機械を使って薄切します。クリオスタットの内部は低温になっており検体が溶けないよう凍った状態を維持したままの薄切が可能です。この迅速病理診断の結果で術者は手術の方針を決定します。乳がんではリンパ節にがんの転移があればリンパ節の追加切除 (廓清) を行います。切除した端にがんがあれば、追加切除してがんを取り切ることができます。

病理解剖について

力及ばず患者さまがお亡くなりになられたとき、私達医師は患者さま遺族に病理解剖をお願いすることがあります。画像診断の精度が向上した昨今におきましても、実際に患者さまの体でどのような病態が生じて亡くなられたのか、その最終診断は病理解剖で行われます。病理解剖の結果から生前の治療がどの程度奏功していたのか、何故治療に対して病態が抵抗を示したのか議論を交わして、関わった医療従事者全員が患者さまの献身から学ばせて頂いています。