人工関節手術(ナビゲーション人工関節手術)について
人工関節のより正確な設置が、人工関節の寿命を最大限にします。当院では「ナビゲーションシステム」を導入し、人工関節の手術をより安全に、より正確に行うことを目指しています。
「ナビゲーションシステム」を用いた「より安全な」治療の提供、さらに「低侵襲手術(小さなキズ)」、「最新の除痛方法」を行うことで、患者さまが「より安心に」手術治療を受けられるように努めています。
人工関節手術(ナビゲーション人工関節手術)とは
40年以上の歴史があり、「変形性膝関節症」や「変形性股関節症」に対する現在の手術の中で最も効果のある手術法の一つです。その効果は、現在ある関節の痛みの軽減と日常生活に必要な関節機能の回復です。悪いところの骨を取り除き、しっかりした合金のかぶせをし、プラスチック製の人工軟骨を入れる手術です。
治療方法
患者さまが求めているものは個人個人で大きく異なりますので、必ずしも手術を勧めるのではなく、家族構成や生活環境、職業、趣味、家に階段はあるか、買い物はどうしているかなどの背景を細かく丁寧に聞き取り、患者さま本人が希望する生活スタイルに応じた治療法を提案することを大切にしています。
■主な治療の流れ
1.外来
手術日を決定し、術前検査(血液検査や心電図検査など)を行い、利用できる行政サービスの案内や、入院に必要な物などの説明をさせていただきます。
2.手術
原則手術前日に入院していただき、術前説明を行います。手術翌日より離床していただき、術後のリハビリが開始となります。
3. 術後のリハビリ
術後、約2~4週間、入院リハビリを受けていただき、十分に歩けるようになってからご退院いただきます。術後の痛みはリハビリの妨げとなり、回復に支障をきたすことから、当科では術中~術後の疼痛管理を徹底的に行っています。患者さまには疼痛管理について事前に詳しく説明し、できるだけ安心していただけるように努めています。疼痛管理をしっかり行うことで、術後すぐからのリハビリが可能となり、多くの方が術後2~ 3日目には歩行器を用いての歩行訓練が可能となっております。
4.退院後
退院後は通院リハビリを受けていただきます。受けていただく期間は患者さまの状態に応じて異なります。定期的な人工関節術後検診を受けていただきます。
手術方法
人工関節手術に利用しているナビゲーション手術は、車のナビゲーションシステムと同様の原理が用いられています。
赤外線を使用して、手術の器具が現在どの位置にあり、計画通りに手術をするためにはどの方向へどの程度移動すればよいかという計算をコンピュータが行い、画面に表示するものです。
医師は、人工関節を設置する位置や角度をそのつど確認しながら、見た目のみでは分からないレベルまで正確に手術することが可能となりました。当院の実績では、従来の5倍以上の正確性を実現しています。ナビゲーション手術は、高い精度の手術が可能となるコンピューター支援手術システムです。
また、手術を担当する医師が変わっても精度が担保されることも大きなメリットです。
人工関節術後患者会 「健歩の会」
2018年 京都水族館
2013年から、当科で人工関節置換術を受けられた方を対象とした患者会「健歩の会」を発足しました。
患者会では年に2回、会合を開き、患者さま同士の交流や情報交換、医療者の講演などを行っております。また、2016年から患者会でバス旅行などのレクリエーションを始めました。患者さまには痛みなく歩けるようになったことを実感していただいております。不安軽減のために今後とも患者会の充実に力を入れていきたいと考えています。
2019年 淡路