がんかも？と思ったら

肺

肺がんは5大がんの一つで、年々患者数は増加傾向にあり、部位別がん死亡率は第1位となっています。肺がんの原因で最も多いのが喫煙と受動喫煙です。近年、化学療法で治療成績はよくなってきていましたが、予後の悪いがんの一つであり、早期発見が重要です。検診では胸部レントゲン検査やCTを行いますが、50歳以上で喫煙指数（1日のたばこ本数×喫煙年数）が600以上の方には、喀痰細胞診検査も行われます。

乳房

乳がんは5大がんの一つで、日本でも近年増加傾向にあり、女性の12人に1人が乳がんにかかっています。40〜50歳代に多いと思われがちですが、高齢の方にも多いがんです。早期発見にはマンモグラフィーや超音波検査による定期検診が有用ですが、自己検診でも見つけられることがあり、定期的な自己検診も重要です。

胃

胃がんは5大がんの一つですが危険因子とされるピロリ菌の除菌治療が広く行われ、胃がん検診や内視鏡検査が普及してきたため罹患率・死亡率ともに減少傾向にあります。早期では無症状であることが多く、早期診断には内視鏡検査が有効です。

腎臓

腎癌は症状を伴わないことが多く、CTや超音波検査などの画像診断で偶然発見されるものが全体の約80％を占めています。治療は、外科的切除が基本で腫瘍のサイズとその場所や形によって術式が選ばれます。腎機能を温存する手術（手術支援ロボットを用いた腹腔鏡下腎部分切除術）もおこなわれています。

大腸

大腸がんは5大がんの一つで、近年男女ともにがん死因の5位以内に入っています。危険因子としては、赤肉・加工肉の摂取や喫煙が上げられています。早期は自覚症状に乏しく、進行すると血便、便柱狭小化、便秘などを来します。早期発見には便潜血検査や内視鏡検査が有用です。

胆道

胆道がんは胆管・胆嚢のがんを指しますが、胆管・胆嚢炎や炎症性腸疾患、膵胆管合流異常などが危険因子と考えられており、近年では塩基系有機洗浄剤を長年使用した印刷業の方で胆道がんが多いと報告されました。診断にはERCP（内視鏡的胆管膵管造影）やMRCP、超音波内視鏡検査が有用で、消化器系検査の中でも専門的な技術が必要です。

膵臓

膵がんは診断時にすでに転移を伴っていることも多く生命予後も不良とされています。少しでも早い段階で膵がんを見つけるために、膵がんの家族歴がある方や糖尿病・慢性膵炎・膵管内乳頭状粘液産生性腫瘍(IPMN)の方、膵酵素異常を示す方などを対象に、小さい膵がんの診断率が高いとされる超音波内視鏡を用いた膵がんスクリーニングが行われています。

肝臓

肝臓がんは、ウィルス性慢性肝炎（B型・C型）や肝硬変が高危険群とされ、アルコール多飲・肥満・糖尿病などが危険因子とされています。最近では非アルコール性脂肪性肝疾患からの発がんも注目されており、血液検査に加えて腹部超音波検査などの画像検査でのスクリーニングが大切と考えられています。

膀胱

膀胱癌の症状は大半が血尿で、ときに膀胱炎様症状（頻尿・残尿感・排尿痛）がみられます。治療は内視鏡的切除（経尿道的膀胱腫瘍切除）がおこなわれ、詳しい検査により膀胱の摘出が必要になることもあります。膀胱の温存を目指した治療法もあります。また尿の通り道にできる腎盂尿管癌も主症状が血尿で、ときに尿管の閉塞による腰背部痛でみつかることがあります。

子宮・卵巣

• 子宮頸がん

  主にヒトパピローマウイルス（HPV）感染が関与しています。日本ではHPVワクチンの接種が進んでおらず、20～30代の若年者でも子宮頸がんをしばしば認めます。初期症状の不正出血やおりもの異常があれば、年齢に関わらず受診して下さい。子宮頸部の細胞診とコルポスコピーという拡大鏡検査を用いて、比較的容易に発見可能であり、早期発見できれば手術による根治が可能です。

• 子宮体がん

  子宮内膜に発生するがんで、近年わが国で増加傾向です。女性ホルモン（エストロゲン）の長期刺激が原因であることが多く、40～60代の女性に好発します。症状は出血が多く、閉経前後の不正出血には特に注意が必要です。子宮内膜の細胞診と、経腟超音波検査により診断が可能です。子宮頸がんと同じく、早期発見できれば手術による根治が可能です。

• 卵巣がん

  卵巣がんは初期には自覚症状が出ないために、診断時にはすでに進行していることが多いがんです。発見時にがん性腹膜炎やリンパ節転移を伴う進行がんであれば、手術療法＋化学療法を中心とした集学的治療を行います。少しでも早期発見するため、体重増加やおなかの張りなど気になる症状がある場合、経腟超音波検査を行い、卵巣の状態を確認する必要があります。

前立腺

前立腺癌は世界で2番目に多い癌で日本でも増加傾向にあります。危険因子として高脂肪食、喫煙、家族発生、性活動との関連性があると言われています。早期では自覚症状は乏しいため、PSA（前立腺特異抗原）値やMRI検査によって組織検査の必要性を判断します。治療は様々なオプションがあり、限局性癌には根治的治療としてロボット手術や放射線療法が挙げられ、病期に応じて局所療法や内分泌療法も選択肢にあり、それらの併用療法などもおこなわれています。

生殖器

外陰部の皮膚疾患は羞恥心などから受診をためらわれることがあります。陰茎癌の症状は皮膚に潰瘍などを呈することが多く、包茎が病変を覆い隠し、進行を気付かせない原因となっている場合がしばしばありますので注意が必要です。精巣癌は15歳から35歳の男性において最も頻度の高い悪性腫瘍です。早期の診断による治療で完治することもあるため、まず受診していただくことが大切です。